長編小説【朝が来る】感想やあらすじ・魅力を簡単にご紹介!

この作品を読んでみようと思ったきっかけは
タイトルと表紙に惹かれたからです。
読んだあとタイトルと表紙の意味がわかったような気がします。
男女問わず「親」、「子」に読んで欲しい一冊です。

作成紹介

[朝が来る]
作者:辻村深月
出版社:文藝春秋
初版:2015年6月15日

作者紹介

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。
2004年[冷たい校舎の時は止まる]で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。
2011年[ツナグ]で吉川英治文学新人賞を受賞。
2012年[鍵のない夢を見る]で第147回直木三十五賞を受賞。
2018年[かがみの孤城]で第15回本屋大賞受賞。

代表作:[ツナグ]
[鍵のない夢を見る]
[かがみの孤城]

朝が来るのあらすじ


親子3人で平穏に暮らしていた栗原家。
しかしある時から昼間に無言電話がかかってくるようになり、
しばらく続いてなんとなくそれにも慣れた頃に
無言電話の相手から
「子どもを、返してほしいんです。」
と言われます。
佐都子と清和、そしてもうひとりの[親]であるひかりの過去と
[親子]とは何かを考えさせられるお話です。

子を持つ親の悩みや葛藤


こちらの作品は第1章~第4章まであります。
第1章はママ友付き合いについてのお話がメインです。
作中に登場するママ友は根は悪いひとじゃないけど、
年齢の違いや考え方の違いによって、
子ども同士のトラブルをきっかけに少し対立をしてしまいます。
自分の子を信じ毅然とした態度で対応する佐都子も
「もしかしたら朝斗がウソついているかも…」と
ほんの一瞬疑ったり、
そんな自分に嫌悪感を抱いたりと
親なら誰もが経験したことがある悩みがリアルに書いてあります。
夫の清和も事情を知って協力的な態度をとりますが、
しかしこういう時、
子どもと長い時間一緒に過ごす母親が対応することが多いと思います。
大人同士だと簡単に解決できる問題でも、
子どもが絡むと一気に難しくなって
いろんな配慮をしないといけなくなりますよね。
こういう経験をして親も成長していくんだなと改めて思いました。

不妊治療や特別養子縁組の仕組みについて…


第2章、第3章に不妊治療と特別養子縁組の話が出てきます。
不妊治療と言っても理由は様々です。
それなのに検査など女性よりも男性の方が抵抗があったり、
無意識に不妊は女性側に問題があると思ってしまったり、
いつの間に考え方がすれ違ってしまったりと
夫婦の気持ちが切実に書かれています。
さらに特別養子縁組についても詳しく書かれています。
作中では特別養子縁組の仲介をする民間団体
「ベビーバトン」が出てきます。
その団体に登録できる条件や登録してから赤ちゃんが来るまでの流れ、
普通養子縁組と特別養子縁組の違いなど、
分かりやすく書かれています。
作中に「養子縁組は親が子を探すための制度じゃなく、
子どもが親を探すための制度」と書いてあったのが
とても印象的でした。
今までなんとなく子供が欲しい夫婦のための制度と思っていましたので
このセリフにハッとさせられました。

血のつながり]とは?[親子]とは!?


こちらの作品の大きなテーマは[血のつながり]だと思います。
養子として朝斗を迎えた佐都子と清和。
朝斗の産みの親であるひかり。
ひかりは予想外の妊娠で赤ちゃんを産むことになります。
しかし育てられないので養子に出します。
佐都子と清和は長い不妊治療のすえ養子を迎えます。
子育て中にぶつかる問題を2人で乗り越えながら
一生懸命朝斗を育ててきました。
血のつながりのない親と血のつながった親。
どっちが本当の[親]かと聞かれたらみなさんはどう答えますか?
私は読みながら繰り返し考えさせられました。

ネットやツイッターの反応

「産みの親と育ての親が苦悩するシーンに胸が痛みました。」
「特別養子縁組を軸に人間の心情を描いた感動作」
「特別養子縁組の光と闇を扱ったヒューマン作品」など、
親子の絆や特別養子縁組についての考えさせられる声が多いです。
日本は[血のつながり]を大事に考える風習があるので、
養子に対してまだまだ理解されにくいと思います。
この作品を通して養子についての情報が広まるといいなと思いました。

まとめ


結婚したら自然と妊娠ができると私自身もなんとなくそう思っていました。
しかしそれは当たり前なことではなく、
気が遠くなるような不妊治療をしなければいけない場合もある事を
こちらの作品で再確認することができました。
子どもが欲しくても授からなかった夫婦、
望まない妊娠によって出産をした少女。
出会うはずのなかった両者を結びつけた特別養子縁組。
しかし子供を預ける親と子供を迎えたい親がいて
はい、問題解決!という訳ではなく、
預けた親のその後の大人の接し方や心のケアなど、
ちゃんとしっかりサポートしないと
悲劇は終わらないんだなと思いました。
佐都子と清和にとってあのとき朝斗を産んでくれた小さなお母さんは
いつまでも変わらず朝斗の幸せを願っていて、
朝斗を思う気持ちに一点の曇りもなく
清らかな小さなお母さんのままだったけれど、
実際のひかりは大きく変わってしまったのが読んでいて切なかったです。
しかし最後はほんの少し
希望を与えてくれるような終わり方で気持ちが救われました。
血が繋がっているからこそ甘えてしまったり、
他人だから分かり合おうと努力したりする部分もあるので、
家族との接し方を反省させられる作品です。
2020年初夏に映画化される予定です。
映画の前にぜひ小説の方を読んでみてください。

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